2016年6月28日火曜日

大学の現状


大学の現状

相次ぐ大学の募集停止

 筆者の地元、関西圏では昨秋から、大学の募集停止が相次いでいる。2015年11月には京都聖母女学院短期大学が、2017年度以降の学生募集を停止、2016年に入って6月に、大阪女子短期大学、神戸山手短期大学も募集停止となり、2019年度に廃止予定となっている。

 神戸山手短期大学は、1950年に全国で最初に開学した短大149校のうちの1校であり、短大の老舗的存在である。1999年のピーク時には、学生数が1800人を超えた。15年には、経営悪化で閉校した神戸夙川学院大学の学生を受け入れてもいた。生き残りをかけて2004年には、女子短大から共学校へと転換していたが、それでも定員割れが続き、ついに閉校せざるを得ない状態にまで追い詰められた。

 2018年から18歳人口はさらに減少する。大学の数は明らかに飽和状態であり、各大学は生き残りを懸けて新たな事業展開に取り組んでいる。


規模拡大で生き残りを図る

 一方で大規模私大(収容定員8000人以上)は、定員増に動いている。2017年度の入学者については、全国44私立大から前年の2倍に相当する7354人分の増員申請があった。ちなみに京都では立命館大学が472人、龍谷大学が154人の増員予定となっている。全国トップが近畿大学の920人だ。

 都市圏の大学が増員すれば、18歳人口は確定しているのだから、ゼロサムゲームで地方大学にしわ寄せが行くだろう。だからといって大都市の私立大学が安泰かといえば、決してそんなことはない。大阪にある追手門学院大の理事長は、「いずれ私立大の半分くらいは淘汰(とうた)される。これからは、社会の要請に適合した大学だけが生き残る(日本経済新聞、2016年6月20日朝刊)」と、冷徹な認識を示している。

 では、社会の要請に応えるとは、どういうことだろうか。要請を「ニーズ」と言い換えれば、マーケティングの考え方を応用できることが分かるはずだ。

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